セルフトリートメントの限界

アロマセラピーまたは、アロマケアと聞くと、
どなたも、お香をくゆらせ心身の緊張を解きほぐすことや、
美容品として香りを楽しむことと答えられるでしょう。
あくまで、各自が楽しみとして利用してきました。

最近では、駅舎やホテルのフロント、デパートで香りを焚くなど、
公共と言える場でも香りを感じることが出来るようになりました。
アロマセラピーが日本に導入されて約20年になりますが、
かなり一般化してきたように感じられます。

アロマケアで利用する精油は、
入浴剤やアロママッサージ、ディフューザーなどに加えることができ、
スキンケアだけでなく、身体の抵抗力や自己免疫力の向上、強壮、鎮静効果、
集中力の増強や性欲増進など高い効果が期待できるのです。

不安、イライラ、睡眠障害などからくる精神的アンバランスの調整や、積極的な健康維持として、
また、病気の予防としてアロマケアを利用することはとても有用なことと思っています。

アロマセラピーは、*フィトセラピー(植物療法)の一環で、アーユルヴェーダや中医学などを含む
伝統医学などと同じように、代替療法のひとつと考えられています。
からだに優しく総合的な効果のある自然療法として、重要視されているのです。
歴史と伝統のある欧州では、アロマセラピストとして免状の必要な職業であり、
アロマセラピーは、内用も含めて医師と自然療法医が実践を許されているもの、
アロマケアは、医師の指導の下で看護者が実践できるものと区別をされているようです。

精油等が、心身に好影響を与えるということは、
その裏を返せば、用法用量を誤れば心身に害を与えると言うことです。
アロマケアをする上で、精油に関する知識は勿論、 身体の生理や疾病についての基礎知識を備えていることが前提条件となり、
優れたセラピストは、その効果を最大限に引き出す能力が求めらるでしょう。

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セルフトリートメントの限界
精油を健康障害の治療に使う時には、必ず次の点に気を付けてください。
病気の中には、医師や治療師が原因を明らかにしなければならないものが沢山有ります。
その原因に応じた治療法を決定できるのは、医師と治療師だけです。
その上で、総合的な作用を持つアロマセラピーが、その治療法を補充し、治療の幅を広げのに有用となります。

*医師または療法師が診断や治療を施すべき時期を承知しておくこと。
*推奨するレシピの多くは、補充療法として実践することを限定としており、医師や療法師の施す
 治療に替わるものでは有りません。
*特別な症例で、アロマセラピー本当に適切な治療法であるかどうか疑わしい時は、セラピストに相談してください。
 精油による治療法に固執してはいけません。
*大した健康障害でないと考えて、医師に相談せずに精油で治療しようとする人は、治療を開始して3日経過しても
 未だ障害が消えなかったり、治療を中止するとすぐに再発したら、必ず医師に治療を受けてください。
 これは非常に重要なことです。
*重要事項:痛みが強かったり原因不明の時、高熱がある時、傷口が開いている時、重度の火傷がある時は、
 必ず医師に相談してください。

以上は、モニカ.ヴェルナー、ルート.フォン.ブラウンシュヴァイクが著書の
『アロマ療法大全』より引用したものです。

内容は、ドイツでの先進的なアロマセラピーを基準にしており、
美容や楽しみで用いられている日本では、かなり深刻な話題のようにとらえられがちですが、
ますます高まる需要に注視してみますと、安全に且つ有益な療法として広がって欲しいと思ってやみません。
近年は、日本でも介護施設や病院のケア部門に取り入れられてきており、
願わくば、近代医学と伝統的医療との融合された治療法が復活することを大いに期待します。

フィトセラピー
「フィトセラピー」という言葉は、仏人医師H.ルクレール(1870-1955)によって医学界にもたらされました。
1943年には、独で、医学博士R.F.ヴァイス教授が教書『フィトセラピー』の初版を発表し、現代フィトセラピーを紹介しました。
独国内や欧州連合では、次のように定義しています。「フィトセラピーは、薬用植物及び薬用植物の一部(花や根など)または
成分(精油など)更に加工品(チンキ剤、エキス、絞り汁)を用いて、疾患や気分障害に至るまでの健康障害を治癒、緩和、予防
する療法をいう」Schilcher u.Kammerer2000
独立法機関は、特殊療法分野に分類、承認されています。また、特殊療法分野の中でも自然療法に属し、自然療法の医師は、
資格認定を受けなければなりません。フィトセラピーは、代替療法ではなく現代の自然科学に則った医療に属すると言えます。
Wagner u.Wiesensauer 2003

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